hellog〜英語史ブログ

#6157. 古中英語30連発の振り返りとアナリティクス[twitter][kochushoho][kenkyusha][kochukoneta30][helkatsu][hel_ogiri]

2026-03-06

 1月26日から2月24日までの1ヶ月間,X(旧 Twitter)にて展開してきた「古中英語30連発」企画は,無事に完走しました.この企画は,2月25日の『古英語・中英語初歩』の新装復刊を記念し,古英語や中英語の魅力を1日1ネタずつ紹介していくという試みでした.本日は,この30日間の歩みを振り返り,どのような内容の投稿が皆さんに響いたのか,そのデータ分析の結果を共有したいと思います.
 まず,全体的な傾向として驚かされたのは,想像以上の反響です.全30本の投稿で得られた「いいね」の総数は約1,480件,総インプレッション数は実に31万件を超えました.平均して1投稿あたり1万ビュー以上という数字は,英語史という,ともすればマイナーと思われがちな分野に対してでも,関心が集まり得ることを示しています.
 分析の結果,特に反響が大きかったのは3つのカテゴリーに集約されます.第1は日英語を比較対照する内容の投稿です.今回,圧倒的な1位(440いいね)を記録した No.11 「英語の語彙は「3階建て」の構造」は,その典型です.英語語彙の3層構造は,本ブログでも繰り返し取り上げてきたテーマですが,日本語との比較対照がおもしろい話題でもあります.英語学習者の皆さんの単語暗記の悩みにストレートに刺さったということもあったかもしれません.
 第2に,日常語の意外なルーツを扱ったカテゴリーです.No.8 の Wednesday や No.9 の Friday といった,誰もが知る曜日の名前に潜む神話や語源のドラマは,安定した支持を集めました.特に Wednesday の綴字に残る d の謎などは,日頃から綴字と発音の乖離に悩まされている英語学習者の皆さんの知的好奇心を刺激したようです.
 第3は,「衝撃の事実」型です.No.3 の「古英語は現代の英語ネイティヴでも理解できないほどなのに,本当に「英語」と呼べるの?」という問いかけは,5万ビューを超える最大の拡散力を発揮しました.現代英語の感覚からは想像もつかない古英語の異質さと,それでも連綿と続いてきたという矛盾する事実は,英語史のダイナミズムを物語っているといえるでしょう.
 また,いくつかの話題にかこつけて「英語史大喜利」も開催しましたが,そこではリプライや引用リポストが相次ぎ,活気のある交流が生まれました.例えば No.14 の「ちゃんぽん(混種語)」の小ネタをもとにした大喜利では,主に日本語からの事例ではありましたが,多くの秀逸な混種語が集まり,たいへん賑わいました.SNS という媒体は,単なる情報発信の場に留まらず,言語に対する鋭い観察眼を持つ読者の皆さんと対話できる貴重な空間であることを再認識した次第です.
 今回の企画を通じて,英語史という分野がもつ「解決力」を改めて実感しました.歴史を知ることは,現代英語の「なぜ」を解き明かす鍵となるのです.30日間の投稿の詳細やリンクは,以下のテーブルにまとめてありますので,興味のある方はぜひ各投稿へ飛んでみてください.
 最後に,連日の投稿企画にお付き合いいただいたフォロワーの皆様,そして企画の原動力となった『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』に関心を寄せていただいた皆様,ありがとうございました.引き続き様々な方法で英語史の楽しさを発信していきますので,お付き合いのほど,よろしくお願いいたします.

小ネタタイトル日付いいねリポスト引用返信ブックマークビュー
01発音記号の æ はどこから来たの?01/266417921514422
02なぜ climb の b は発音されないの?01/2743114344654
03古英語は現代の英語ネイティヴでも理解できないほどなのに本当に「英語」と呼べるの?01/28104291131853230
04中英語のこの単語を読めますか? yhurght01/292197215860
05この中英語の文字の名前は?どんな音を表わす?01/302072223415
06「乾杯」を古英語で言ってみよう! Wes hal!01/3129102233608
073単現の -s は古中英語にもあったの?02/012391232234
08なぜ Wednesday は「ウェドネスデイ」みたいに綴るの?02/02160591112617612
09Tuesday, Wednesday, Thursday いずれも -s- がありますがなぜ Friday には -s- がないのですか?02/03642241126342
10なぜ old には elder というかわった比較級があるの?02/0438112153056
11英語の語彙は「3階建て」の構造02/05440625210039972
12英語は古英語の時代から借用語が多かったの?02/0636173344093
13中英語語彙,「自給自足」から「他力本願」への華麗なる転身?02/0729112123035
14英語も日本語もちゃんぽん(混種語)がお好き?02/08321021165289
15a six-foot manなぜ feet じゃないの?02/0941144254432
16「住所」のアクセントはどっち? addréss / áddress02/101552102319
17古英語はドイツ語のように「動詞第2の位置」が原則だった?02/1173192294330
18古英語の <y> の文字はドイツ語の <ü> に当たる?02/1256112264696
19north では <th> は濁らず northern では濁るのはなぜ?02/131971111841
20古代及び中世英語の研究は労多くして効少い02/142053123138
21古英語の名詞の「小変化」って要するに不規則名詞のこと?02/151462112346
22daisy 「ヒナギク」の語源が古英語の dæges ēage "day's eye" だと知っていましたか?02/162292265614
23なぜ sheep や deer はそのままの形で複数になるの?02/171491142028
24whilom 「以前の,昔の」 -om ってどんな語尾?02/181472131974
25hound 「猟犬」は古英語では普通の「犬」の意味だった!?02/191883103008
26「標準英語」はいつ成立したの?02/2021101112108
27英語史・英文学史を修めた人は必ずそらんじられる!? Whan that Aprill with his shoures soote02/2151123258090
28スペリングの標準化がなされていない時代の英語の辞書はどう引くの?02/221472113429
29現代英語の研究を志していますが古英語や中英語の知識は必要ですか?02/2313101122056
30『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 この本のテキストを独学で読めるようになる?02/241681111568



 ・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.

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