Felix Mendelsshone
フェリックス・ メンデルスゾーンは 1809 年に生まれた音楽史上稀に見る天才であり、古典派の和声と様式を守っ た音楽家である。彼は裕福で教養のある家庭に生まれ、素晴らしい個人指導を受けることができた。その訓練は徹底していて、彼の作曲した音楽を試演するためにプロのオーケストラを呼び、自宅で定期的に「日曜音楽会」を開くほどだった。
そして、全てのドイツ人から神のように崇められていたゲーテからも「モーツァルトの再来だ!」と認められたほどだった。また、現代にまで続いてる指揮者の始まりもメンデルスゾーンだと言われている。
それまで オーケストラをまとめていたのは作曲者自身や、コンサート・マスターで、丸めた紙やヴァイオリンの弓を用いて 速度や強弱を指示していたがメンデルスゾーンは、現代の指揮者のように自らの音楽性をオーケストラに吹き込み、芸術的に高度な演奏を行ったのだ。
メンデルスゾーンが亡くなったあと世界的なユダヤ人弾圧の風潮が起こり、しつこく繰り返されるこうした中傷に よって、「メンデルスゾーンの音楽は優雅だが表面的」という見方が一般に広まり、作品の評価も低くなっていった。 第二次世界大戦の時代は、ドイツの音楽の教科書や作曲家名簿からメンデルスゾーンの名前は抹殺され、彼の作品 の演奏も出版も全面禁止になった。彼の名誉は、第二次世界大戦終結後から現代にかけて、まだ復活の途中である。