東京言語研究所
2022年度理論言語学講座(前期)
ガイダンス

史的言語学
(水曜日 19:00–20:40)

堀田 隆一

2022年4月23日

「英語史概論」 — 英語を歴史的・通時的にみる

英語という言語の特徴を理解するためには,それがたどってきた歴史を学ぶことが不可欠です.英語の起源はどこにあるのか,英語に見られる不規則性は何に由来するのか,英語はいかにして世界的な言語となったのか等の問題に歴史的・通時的な視点からアプローチすることで,多面的な英語観,言語観を形成することが本講義の目標です.英語史の通史を描いていきますが,とりわけ内面史(言語体系の変化)と外面史(言語を取り巻く社会の変化)の連動に注目します.

受講にあたって

テキスト・参考文献
堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.(その他,様々な資料を適宜紹介していく予定です.)
この課目で前提とされる知識など
必須ではありませんが,入門・概論レベルの言語学の知識があると理解がスムーズです.また,英語のほかにフランス語やドイツ語などの印欧語を学んだことがあると英語史の理解が深まります.
講義形態
スライドを参照しながらの講義形式が中心となります.

この講座で学べること

  1. 史的・通時的に言語を観察し研究する方法・意義・魅力を知ることができます.
  2. 変化 (change)変異 (variation) が言語の本質であることを,具体的に理解できます.
  3. 英語という1言語がたどってきた内面史・外面史,および両者の連動について体系的に学習できます.

なぜ英語史を学ぶのですか? — 担当者の私的回答

  1. 現代英語の文法や語彙が学び/教えやすくなります.(今まで関連の見えなかった現象につながりが見えてきます.不合理・不規則に見える現象の根拠を知ることができます.)
  2. 英語の過去を通じて英語の未来を意識することで,能動的・戦略的に英語を学ぶ/教える姿勢が身につけられます.(未来における英語の立場を予想できれば,英語学習が本当に必要かどうかを自分で判断できるようになります.英語学習の動機も高められます.)
  3. 言語は変わるものであり,多様なものであるという許容的な言語観が形成され,おおらかに英語(一般に言語)に向き合えるようになります.
  4. 英語史は一つの物語なので,お話しとして面白いです.
  5. 史的・通時的な言語研究の方法を身につけることができます.