グループ・リーディングの手引き
1. グループ・リーディングの概要
1.1 目的
グループ・リーディングとは,指定テキストをグループで読み,まとめ,発表し,議論することを通じて,テキスト内容の理解を,個人で読む場合よりも格段に高めるための学習法です.参加する個人は,グループのなかでの役割を果たすことにより,自らを含めたメンバーによるテキストの理解度を高めるよう努力することが求められます.グループ・リーディングにより,テキストを読む力を向上させるばかりではなく,わかりやすく情報をまとめる力や,他人の意見を聞いて取り込む力をも養うことを目指します.グループへの貢献度は,そのまま評価の対象となります.逆に,グループ活動に支障を来たす行いは,減点の対象になります.
1.2 方法
グループのなかで毎回1人が,テキストの指定箇所の読解について責任をもつ「担当者」となります.担当者は,担当回の授業の数週間前から準備を始め,授業時にはプレゼンテーションとディスカッションを含めた進行役を務めることになります.準備段階では,担当者には以下の課題をこなすことが求められます.
- 個人でテキストの指定箇所を精読する
- 担当者どうしのグループ(ワーキング・グループ)で協働して,指定箇所の要約を中心としたレジュメを作成する
- 作成したレジュメを授業の1週間前までに指定された方法で教員に提出する
授業では,担当者は次の課題をこなします.
- レジュメに基づいて指定時間内でリーディング・グループに対して効果的なプレゼンテーションを行なう
- ディスカッションの司会を務め,リーディング・グループ全体でテキストの内容理解に努める
1.3 評価
出席状況,授業への貢献度,リアクションペーパーの提出と内容,期末考査の得点はもちろんのこと,とりわけ担当回においては,提出されたレジュメの完成度,プレゼンテーションの質,ディスカッションの取り仕切り方を逐一チェックする.個人として評価するほか,グループとしても評価し,後者を最終的な個人の総合評価に含める.以上の評価は,毎回行なう.
2. グループ・リーディングの詳細
2.1 グループの決定とその後の活動
- 原則として,初回の授業で,適切な方法により数名1組のリーディング・グループを形成する.担当者が1巡あるいは2巡したところで,学期中にリーディング・グループを組み替える.組み替えの連絡は,数週間前までに通知する.
- 教員が各回の担当箇所を明示する
- リーディング・グループ内で,担当となるの順番(担当回の日時)を決め,提出してもらう
- リーディング・グループを横断して,同じ回に担当となる人々による「ワーキング・グループ」のメンバーを確認し,互いの分担や連絡法などを確認する
- ワーキング・グループでテキストの指定箇所を読み,レジュメにまとめ,プレゼンテーションの事前練習を行なうなど,計画性をもって入念な準備をする
- 担当回の一週間前までに,レジュメを指定された方法で教員に提出する
レジュメの作成と提出
- ワーキング・グループで協働して,原則としてA4用紙で4ページ分を電子ファイルで作成する(それを各自A3用紙の両面に印刷し,リーディング・グループのメンバー数分コピーしたものを授業で配布)
- レジュメの内容
- 冒頭には,テキストの担当箇所のページ・行数,担当回の月日,担当者の氏名(複数)を必ず記した上で
- 担当箇所の段落ごとの要約を中心に記し(約7割)
- テキストに関連して調査した話題(約1割)を含め
- 複数の疑問点やディスカッション・ポイント(約1割)を挙げ
- 参考文献表(約1割)を付す
- 誤植,形式の不統一,書誌情報の欠如などは,ワーキング・グループ全体としての減点対象とするので,提出前にグループ内で入念な推敲と校正を重ねること
- ワーキング・グループの代表が,担当回の授業の一週間前までに教員に指定された方法で提出する.具体的には,もし火曜日が授業であれば,1週間前の火曜日の始まる午前0時より前に,つまり月曜日のうちに提出すること
- さらに1週間前までに電子ファイルを提出すれば,必要部数のコピーは教員が準備する
授業の進め方
- 授業開始前に,リーディング・グループで机を合わせた状態で着席しておく
- 出席状況の確認
- レジュメの配布(A3用紙両面印刷1枚で必要部数をコピーしてくる)
- リーディング・グループ内でのプレゼンテーション
- リーディング・グループ内での質疑応答とディスカッション
- 各リーディング・グループのディスカッションの内容をフィードバックし,クラス全体でディスカッション
- まとめ
- リアクションペーパーの執筆と提出
- 次回の担当者の確認など
担当者の評価
- レジュメが期限内に提出されているか
- レジュメが細かく校正されているか
- プレゼンテーションの事前練習がなされているか
- プレゼンテーションはレジュメの棒読みとなっていないか
- プレゼンテーションの内容がリーディング・グループのメンバーに伝わっているか(声の大きさや明瞭さを含む)
- 自分の担当した以外の部分も理解できているか
- ディスカッションを適切に進行させているか
注意事項
- 遅刻や欠席は,相応の理由がないかぎり減点対象とする
- とりわけ担当者の遅刻や欠席は,相応の理由がないかぎり大幅な減点対象とする
- レジュメ作成・提出の不履行や遅延は,ワーキング・グループ全体に対する甚大な減点対象とする
- 担当者はテキストに関連して何らかの調査を行い,話題提供もしてもらうが,その際に役立つ参考資料一覧は別に指示する(他の参考資料を用いることは妨げない).参照・引用元の書誌情報は明記すること.