hellog〜英語史ブログ

#384. 語彙数とゲルマン語彙比率で古英語と現代英語の語彙を比較する[oe][pde][loan_word][lexicology][statistics]

2010-05-16

 これまでも現代英語の語彙数と起源別割合については,グラフとともにいろいろなソースから具体的な数値を挙げてきた.

 ・ [2010-03-02-1]: 現代英語の基本語彙100語の起源と割合
 ・ [2009-11-15-1]: 現代英語の基本語彙600語の起源と割合
 ・ [2009-11-14-1]: 現代英語の借用語の起源と割合 (2)

 それとは別に,語彙や起源別割合の通時的な増減やその他を扱った話題としては,以下のような記事を書いてきた.

 ・ [2009-08-22-1]: フランス借用語の年代別分布
 ・ [2009-08-19-1]: 初期近代英語の借用語の起源と割合
 ・ [2009-06-12-1]: 英語語彙にまつわる数値

 語彙の数値というのは,参照する辞書などのソースを何にするのか,単語の頻度を考慮に入れるのか,などによって調査結果が大きく変わる可能性があり,なかなか難しい.起源言語別で数えるにしても,語源そのものが不詳だったり,フランス語なのかラテン語なのかなどで判断のつかないケースがあったりと,やはり難しい.ただ,予想される通り OEDSOED の情報に基づいた数値が多いようではある.
 今回は,使用されている語彙リストのソース自体は不明なのだが,広く参照される可能性のある Encyclopedia of Linguistics に掲載されている数値を調べてみた.それぞれ "Old English" と "English" の項から関連箇所を引用する.

The recorded vocabulary of OE is estimated at approximately 30,000 words. Only about 3% of these were of non-Germanic origin. (779)


As a result of borrowing, the Gmc word stock is now a low 30% and the Romance one is 50%. (292)


 後者では現代英語の総語彙を対象語彙としているようではあるが,その語数は記されていない.もし OED2 に準拠しているのであれば,定義・例説の与えられている語の数として 615,100 辺りを念頭においているのかもしれない ( see Dictionary facts ) .あるいは,定義されている語源の数である 219,800 辺りを念頭においているのだろうか.不明の点が多いが,現代英語の語彙数として仮に 615,100 という数を採用するとして,古英語と現代英語の語彙とそのなかのゲルマン語彙比率について比べる表を掲げよう.ゲルマン語彙とは,Anglo-Saxon 起源の本来語と(特に現代英語において)Old Norse 起源の借用語を合わせたものが中心になると考えてよいだろう.

 Old EnglishPresent-Day English
vocabulary30,000615,100?
native words (%)9730


 語彙数がざっと20倍,ゲルマン語彙比率が1/3以下になったのだから,語彙体系の激変が起こったといってよい.大語彙推移 ( The Great Vocabulary Shift ) とでも呼びたくなる大変化だ.

 ・ Minkova, Donka. "Old English." Encyclopedia of Linguistics. Ed. Philip Strazny. New York: Fitzroy Dearborn, 2005. 777--80.
 ・ Leitner, Gerhard. "English." Encyclopedia of Linguistics. Ed. Philip Strazny. New York: Fitzroy Dearborn, 2005. 288--94.

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#25. 古英語の名詞屈折(1)[oe][inflection][case][number][gender][noun]

2009-05-23

 古英語の名詞の屈折について解説する.現代英語に比べ,古英語は屈折が複雑である.名詞一つを取り上げても,正しく屈折させるためには,その名詞に付与されている「性」,単数か複数かの「数」の区別,文中の他の語との文法関係を示す「格」がすべて分かっていなければならない.名詞屈折の全容を一度に解説するのは不可能なので,今回は,性・数・格の概要のみを扱う.

1. 性 ( gender )

 性は,古英語には男性 ( masculine ),女性 ( feminine ),中性 ( neuter ) の三性が区別された.どの名詞がどの性を付与されるかはほとんどランダムとも言えるほどだが,「性」という名称が示すとおり,男性を表す名詞は男性名詞,女性を表す名詞は女性名詞,モノを表す名詞は中性名詞という傾向はある.だが,wīf ( > PDE "wife" ) 「女性」は中性名詞だし,wīfmann ( > PDE "woman" ) 「女性」は男性名詞だし,多くの抽象名詞が女性名詞であるなど,理解を超える例は多い.性の見分け方はまったくないわけではないが,原則としてランダムに決まっていると理解しておくのがいいだろう.

2. 数 ( number )

 数は,現代英語にも残っているので理解しやすい.現代英語では,およそ-s語尾があるかないかで複数と単数を区別するが,sheep -- sheep (see [2009-05-11-1]), ox -- oxen, child -- children, man -- men など不規則なペアも存在する.不規則なものも含め,多くの名詞の複数形の屈折は古英語に遡る.

3. 格 ( case )

 格は,現代英語では主格,所有格,目的格の三格が区別されている.一人称代名詞でいえば,それぞれ I -- my -- me のことである.一方,古英語では,主格 ( nominative ),対格 ( accusative ),属格 ( genitive ),与格 ( dative ) の四格が区別された.現代英語の所有格は古英語の属格に,現代英語の目的格は古英語の対格と与格にそれぞれ対応する.だが,古英語の格には,現代英語の対応する格の果たした機能よりも多くの機能があり,注意を要する.

 ・主格は,現代英語と同様に,名詞が主語の働きをする場合に置かれる格である:「?が」「?は」
 ・対格は,名詞が現代英語でいう動詞の直接目的語の働きをする場合に置かれる格である:「?を」
  ただし,動詞だけでなく一部の前置詞の後位置においても対格に置かれる.
 ・属格は,名詞が現代英語でいう所有の意味を表す場合に置かれる格である:「?の」
  ただし,一部の前置詞の後位置においても対格に置かれる.
 ・与格は,名詞が現代英語でいう動詞の間接目的語の働きをする場合に,あるいは多くの前置詞の後位置において,置かれる格である.:「?に」

 古英語の名詞の語形は,以上の三点が分かって初めて確定する.だが,実際にはもう一つ重要なポイントがある.それは「屈折タイプ」と呼ぶべきものである.各名詞に最初から性が付与されているのと同様に,各名詞にはどの「屈折タイプ」で屈折するかが最初から決まっている.男性名詞ならこの屈折表を覚えればよく,女性名詞ならあの屈折表を覚えればよいという単純な話ではなく,男性名詞の中でも,このタイプの屈折,あのタイプの屈折と幾種類かの屈折タイプがある.したがって,名詞を正しく使いこなすには,個々の名詞がどの屈折タイプに属するかを知っている必要がある.そして,屈折タイプも性の場合と同様に,原則として一発で見分ける方法はないと考えてよい.この四つ目のポイントである「屈折タイプ」については,後に改めて解説する.

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#26. 古英語の名詞屈折(2)[oe][inflection][case][number][gender][noun]

2009-05-24

 昨日の記事[2009-05-23-1]で,古英語の名詞屈折における性・数・格の三点を概説した.今回の記事では,昨日の最後に触れた第四のポイント「屈折タイプ」について概説する.
 各名詞が特定の性に属しているのと同じように,各名詞は特定の屈折タイプに属している.ある名詞がどの屈折タイプに属するかは,名詞の基本形を見ただけでは判断がつかないことが多い.つまり,原則として一つひとつ覚えていく必要がある.この点は,性の場合と同じである.性は男性,女性,中性と三種類あったが,屈折タイプはいったい何種類あるのだろうか.以下の図は屈折タイプの概略図である(実際にはさらに細かく枝分かれする).

OE Nominal Inflection Type

 各性ともに,大きく強変化タイプと弱変化タイプに分かれる.強変化は屈折変化が比較的激しいタイプで,弱変化は屈折変化が比較的少ないタイプである.強変化はさらに細分化される.
 古英語の初級文法では,この複雑なタイプのすべてを覚えるのは困難なため,男性・女性・中性それぞれの代表的な強変化タイプの一つと,三性の間でほぼ共通の屈折変化を示す弱変化タイプ,計四つを最初に覚えることが重要である.図中に番号を振った(1)?(4)の四つである.

 (1) 男性強変化屈折 (a-stem) : stān "stone" に代表される,古英語の名詞の中で最も頻度の高い屈折タイプ.古英語名詞全体の36%を占める.屈折表はこちら
 (2) 女性強変化屈折 (ō-stem) : lār "teaching" に代表される,女性名詞の中で最も頻度の高い屈折タイプ.古英語名詞全体の25%を占める.屈折表はこちら
 (3) 中性強変化屈折 (a-stem) : scip "ship" に代表される,中性名詞の中で最も頻度の高い屈折タイプ.古英語名詞全体の25%を占める.屈折表はこちら
 (4) 弱変化屈折 (n-stem) : nama "name" に代表される屈折タイプ.三性でほぼ同じ屈折を示す.三性まとめて古英語名詞全体の10%ほどを占める.屈折表はこちら

 この基本4つの屈折タイプを覚えれば,古英語名詞のほとんどがカバーされることがわかるだろう.その他の屈折タイプは,基本4タイプのマイナーヴァリエーションと捉えておけばよい.(以上のパーセンテージの出典: Quirk, Randolph. and C. L. Wrenn. An Old English Grammar. 2nd ed. London: Methuen, 1957. 20.)

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#28. 古英語に自然性はなかったか?[oe][gender]

2009-05-26

 古英語における性は「文法性」( grammatical gender ) であり現代英語における「自然性」( natural gender ) と対比されるものである,というのが英語史の一般的な理解だろう.古英語では個々の名詞に男性,女性,中性のいずれかの文法性が付与され,その性に応じて修飾する形容詞が屈折変化するし,対応する代名詞も決定される.
 だが,やっかいなことに名詞の性は,必ずしもその指示対象 ( referent ) の生物学的な性とは一致しない.確かに,指示対象が男性であれば男性名詞であることが普通で,女性であれば女性名詞であることが普通だ.だが,これには例外がある.特に,男性でも女性でもない,つまり生物ではないモノや概念であれば中性だろうと予想すると,たいてい外れる.以下は,文法性の不可解なことを示す例である.

 ・指示対象は女性なのに中性名詞: wīf ( > PDE wife "woman" )
 ・指示対象は女性なのに男性名詞: wīfmann ( > PDE woman )
 ・指示対象は男性か女性なのに中性名詞: cild ( > PDF child )
 ・指示対象はモノなのに男性名詞: stān ( > PDE stone )
 ・指示対象は概念なのに女性名詞: lufu ( > PDE love )

 これらの名詞を冠詞や形容詞で修飾する場合,その冠詞や形容詞は名詞の性と一致することになる.例えば,古英語で "the woman" をいう場合,女性形の冠詞を使って sēo wīfmann というのではなく,男性形の冠詞を使って se wīfmann という.また,代名詞で後からこの名詞句を受ける場合,se wīfmann は「女性」を意味するが文法的には男性名詞であるという理由で,"she" ではなく "he" で受けることができる.これは,指示対象の生物学的性を考慮するだけで済む現代英語の自然性の感覚からすると,異常である.
 だが実際のところ,古英語でも,代名詞受けに関しては文法性だけでなく自然性での一致もあり得た.否,自然性での一致のほうが多かったのである.つまり,se wīfmann という名詞句を後から代名詞で受ける場合,現代英語のように "she" と女性代名詞が用いられることはあり得たし,実際そのほうが多かったのである.
 以上を考えると,古英語で自然性はなかったというのは言い過ぎということになる.主として文法性が機能していたが,代名詞受けについては自然性が生きて機能していた.とすると,性に関する英語の歴史は,単に文法性がよそから来た自然性に劇的に置き換えられた歴史ではないということになる.最初から文法性とともに共存していた自然性が文法性を徐々に呑み込んでいった,あるいは文法性が消えた後でも自然性は生き残った,と考える必要がありそうである.
 最後に,この話題についての関連する論文を挙げておく.Moore, S. "Grammatical and Natural Gender in Middle English." PMLA 36 (1921): 79--103.

(後記 2012/07/30(Mon):Baugh and Cable (166) に関連する引用あり.

The recognition of sex that lies a the root of natural gender is shown in Old English by the noticeable tendency to use the personal pronouns in accordance with natural gender, even when such use involves a clear conflict with the grammatical gender of the antecedent. For example, the pronoun it in Etað þisne hlāf (masculine), hit is mīn līchama (Ælfric's Homilies) is exactly in accordance with modern usage when we say, Eat this bread, it is my body. Such a use of the personal pronouns is clearly indicative of the feeling for natural gender even while grammatical gender was in full force. With the disappearance of grammatical gender sex became the only factor in determining the gender of English nouns.


 ・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 5th ed. London: Routledge, 2002.

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#761. 古英語の derivation は死んでいたか[derivation][word_formation][productivity][oe]

2011-05-28

 一般に古英語の語形成は合成 ( composition ) と派生 ( derivation ) に特徴付けられるとされる.前者については[2011-02-04-1], [2010-08-12-1]などの記事で,後者については[2009-10-31-1], [2009-05-18-1]などの記事で言及してきた.
 ところが,後者の derivation について Bradley が異なる見解を述べている.古英語の派生語は,実は古英語以前に確立していたものであり,derivation という語形成の過程そのものが古英語で生産的であったわけではないという.もしこれが真実だとすると,英語史の概説書は誤った(少なくとも誤解を招く)主張を繰り返してきたということになる.あるいは私が単に誤解していたということだろうか.過程としての派生と結果としての派生語とを勘違いしていたということなのかもしれない.

Old English was considerably less rich than Modern English in methods of making new words by derivation. It is true that a large portion of the Old English vocabulary consists of words derived from other words that existed in the language. But very many of these derivatives had been already formed before the English came over from the continent, and the processes by which they were made had become obsolete before the date of the earliest Old English literature. (91)


The Old English language, at the earliest period at which it is known to us, had already lost one of the most useful of the means for word-making which it originally possessed. . . . Almost all those modes of derivation which were actually current in Old English have continued in constant use down to the present time. (93)


 derivation を古英語に特徴的な語形成の1つとして取り上げる際には注意が必要ということだろう.関連して,derivation の生産性 ( productivity ) をいかにして測定するかという問題は,[2011-04-28-1]の記事「接尾辞 -dom をもつ名詞の通時的分布」でも触れたとおり,理論的には難しい問題であることを再度指摘しておきたい.

 ・ Bradley, Henry. The Making of English. New York: Dover, 2006. New York: Macmillan, 1904.

Referrer (Inside): [2012-06-18-1] [2011-09-20-1]

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#472. kenning[kenning][oe][compound][compounding][old_norse]

2010-08-12

 古英語の詩には kenning 「ケニング」と呼ばれる隠喩的な婉曲表現がある.その多くが2つの要素からなる複合語 ( compound ) で,奇抜かつ豊かな発想に基づいた要素の組み合わせにより詩的表現を作り出す.hwælweg "whale's way" 「鯨の道」と表現して比喩的に「海」を指し示す例を取り上げよう.この場合,複合語の主要部「道」と指示対象「海」とは慣習的に連想が働かないが,限定部「鯨」と「海」とは慣習的に結びついている.この限定部「鯨」を介して主要部「道」と指示対象「海」とが初めて間接的に結びつけられるという意味で,比喩的あるいは婉曲的な表現と言えるのである.このように意味論的に厳密に kenning を定義すると,kenning と呼べる表現は古英詩でもかなり限られてくる.しかし,広い意味で隠喩的な婉曲表現ととらえるのであれば,それなりの種類が確認されている.
 例題として,次の kenning の指示対象が何かを答えてみてもらいたい.(伏せ字部分をクリックすると答えが現れる.)

kenningliteral sensemeaning
beaduleoma"battle-light"sword
famigheals flota"foamy-necked floater"ship
feorhhus"soul-house"body
goldgiefa"gold-giver"prince, lord
hēafodgimm"head-gem"eye
merehengest"sea-horse"ship
sǣwudu"sea-wood"ship
swanrād"swan-road"sea
sweordplega"swordplay"fighting
wælstōwe"place of slaughter"battlefield
woruldcandel"world-candle"sun


 古英語以外では古ノルド語の神話 Edda などで盛んに用いられていることが知られている.古ノルド語での kenning の種類は古英語と比較してもはるかに豊富であり,実際に "kenning" という用語は古ノルド語の「知らせること;シンボル」を意味する語に由来する.しかし,初期の古ノルド語詩には kenning の例がないことから,ゲルマン語の kenning は古英語をもってその嚆矢とするのが適切だろう.
 一般に,kenning は古代ゲルマン詩の特徴であると信じられている.確かにゲルマン語は複合 ( composition ) によって造語するのが得意であり,kenning のような表現が発生する基盤はあったと考えられるかもしれない.しかし,kenning は実際には古代ゲルマン詩に特有のものではなく,究極的にはビザンティンに遡りうる伝統をもつらしい.また,kenning の対象となる概念は限られており,古英詩においてはその頻度も低いことから,実力よりも知名度のほうが高い古英詩の表現法といってよいだろう.

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#17. 注意すべき古英語の綴りと発音[oe][spelling][pronunciation][alphabet]

2009-05-15

 古英語は,原則としてローマ字通りに音読すればよいが,現代英語に存在しない文字や音が存在したので注意を要する.以下に,要点を記す.

(1) 古英語のアルファベット

 小文字: a, b, c, d, e, f, ȝ, h, i, k, l, m, n, o, p, r, s, t, u, x, y, z, þ, ð, ƿ, æ
 大文字: A, B, C, D, E, F, Ȝ, H, I, K, L, M, N, O, P, R, S, T, U, X, Y, Z, Þ, Ð, Ƿ, Æ

(2) 注意を要する文字と発音

 以下,綴りは<>で,発音は//で囲む.

 <c>
  ・前舌母音が続くとき,/tʃ/: bēce "beech", cild "child"
  ・語末で<ic>となるとき,/tʃ/: dic "ditch", ic "I"
  ・それ以外は,/k/: æcer "acre", weorc "work"

 <f, s, þ, ð>
  ・有声音に挟まれるとき,/v, z, ð/: hūsian "to house", ofer "over", sūþerne "southern"
  ・それ以外は,/f, s, ð/: hūs "house", of "of", þanc "thank"

 <g>
  ・前舌母音が前後にあるとき,/j/: dæg "day", geong "young"
  ・<l, r>が続くとき,/j/: byrgan "bury", fylgan "follow"
  ・後舌母音に挟まれるとき,/ɣ/: āgan "own", fugol "fowl"
  ・それ以外は,/g/: glæd "glad", gōs "goose"

 <h>
  ・語頭で,/h/: hand "hand", hlāf "loaf"
  ・前舌母音が前にあるとき,/ç/; cniht "knight", riht "right"
  ・口舌母音が続くとき,/x/: nāht "naught", seah "saw"

 <y>
  ・/y/: lȳtel "little", yfle "evilly"

 <sc>
  ・多くは,/ʃ/: asce "ashes", scild "shield"
  ・その他は,/ks/: āscaþ "(he) asks", tusc "tusk"

 <cg>
  ・/dʒ/: bricg "bridge", secgan "say"

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