東京手話言語学研究会(TOSLL)



主催:松岡 和美   メール連絡先
MLや研究会に参加を希望する方はご連絡ください。

対象は、原則として言語学関連分野を専門とする大学院生または研究者で、専門分野の英語文献を読み内容を発表できるレベルにある方です。
理論的アプローチに理解がある方なら専門にはこだわりません。手話の知識の有無も問いません。
この勉強会は音声日本語で運営されています。


専門家向け文献リスト


岡典栄, 赤堀仁美. 『文法が基礎からわかる 日本手話のしくみ』大修館書店 2011年
言語学や手話になじみがない読者のために、手話言語学でよく取り上げられるトピックをわかりやすく説明した入門書です。QRコードを使って、ネット上で一部の例文の動画を確認することができます。

木村晴美 『日本手話と日本語対応手話(手指日本語):間にある「深い谷」』生活書院。2011年
ネイティブサイナーである著者が同じ例文を日本手話と手指日本語(日本語対応手話)で表現したものを写真で示してあるので、文法面の違いがはっきりと確認できます。言語研究者が見ても興味深い例文が多数あります。

松岡和美・内堀朝子『手話言語学のトピック:基礎から最前線へ』 くろしお出版 2023年

松岡和美 『日本手話で学ぶ 手話言語学の基礎』 くろしお出版 2015年
初学者向けの入門書ですが、言語研究者向けの補足情報も含めました。本の内容を日本手話で収録したDVDは、画面のスライドと書籍を参照することで、手話がわからない読者でも理解しやすくなっています。

Brentari, Diane, ed. Sign languages. Cambridge University Press, 2010.
歴史言語学・統語論・言語変異や文法化など、著名研究者による比較的新しい論考がおさめられた論文集です。近年の研究動向がよくわかります。

Emmorey, Karen, ed. Perspectives on classifier constructions in sign languages. Psychology Press, 2003.
手話言語の図像的な性質をよく反映しているclassifer(CL)表現について、形態と統語・類型論・心理言語学と様々なアプローチで考察した論文がおさめられています。

Emmorey, Karen, and Harlan L. Lane, eds. The signs of language revisited: An anthology to honor Ursula Bellugi and Edward Klima. Psychology Press, 2013.
手話研究の古典”The Signs of Language”の問題意識を踏まえ、手話の言語学的性質・手話の視覚言語としての特質と認知能力との関連・脳研究と手話など、言語と心理のトピックが中心です。

Matsuoka, Kazumi, Onno Crasborn, and Marie Coppola (eds.) East Asign Sign Linguistics. de Gruyter, 2022/2023.
東アジア圏の近年の手話言語学の成果がまとめられた論文集です。

Pfau, Roland, Markus Steinbach, and Bencie Woll, eds. Sign language: An international handbook. Walter de Gruyter, 2012.
この分野の必携書といえるでしょう。44章にわたり、音韻・形態・統語・社会言語学・言語発達・応用言語学の各トピックについて当該分野の第一人者と認められる研究者がが多数の文献を網羅しながら解説しています。

Sandler, Wendy, and Diane Lillo-Martin. Sign language and linguistic universals. Cambridge University Press, 2006.
二人の筆者が手話言語の形態論・音韻論・音声学・統語論について、各トピックの研究史を踏まえて詳細に論じています。最後の章にある、手話言語と音声言語にみられる同時性や図像性の議論は特に興味深いです。

Valli, Clayton, Ceil Lucas, Kristin J. Mulrooney, and Miako Villanueva. Linguistics of American Sign Language An Introduction 5th Edition.Gallaudet University Press, 2000
手話言語学の入門書ですが、手話言語学の研究史で頻繁に言及される重要論文が再録されていたり、1900年代初頭から近年のアメリカ手話の動画がふんだんにDVDにおさめられているなど、資料としても有用です。