勉強の他にやるべきことについて


これは夏休み直前にメーリングリストに書いたものですが、休み中に限らず実践してもらっていいんじゃないかと思います。

後で読んでみるとどうも説教くさくて載せようかどうか迷ったのですが、ポジティブな意見をくれた学生さんもいたので、載せてみることにしました。

学生さんが勉強の他にやるとよいことは、3つあります。

  • 旅行(特に一人旅)
  • バイト(できれば塾や家庭教師より、他人と協力してやるような仕事)
  • サークル
旅行・バイト・サークルがなぜ大事かというと、それらを通していろいろな人に会ったり視野が広がったりするからです。そうすると、それに触発されて「今の自分に必要な勉強」とは何かを考えることができるんじゃないかと思うわけです。

卒業単位や資格試験に必要だからするような勉強を4年続けるだけでは、本当に「高等教育を受けた」とは言えないと思います。授業は「理論的な頭の働かせ方」「様々なものの見方」「情報の調べ方とまとめ方」などを紹介するだけのものにすぎないからです。

どれが必要な情報なのか、その情報を組み合わせて何をやれば社会の役に立つのかについては、個々の学生さんが自分で判断する必要があります。それぞれの持ち味ってのもありますし。そういう意味で「大学での学問」と「社会経験(自分の社会性を伸ばすこと)」は相互に補完する関係にあるということです。

いろんな人の中に交じって、支えて支えられてハッピーに生きていきたいと思っている大学生にとっては、どちらかだけではいかんのです。自分の意見を通すことしか考えないというようでは、いくら頭がよくても社会的には小さい子供と同じです。他の人には他の人の事情、他の国には他の国の事情があります。自分と発想法やセンスや価値観が全然違う人の中で、(1)建設的な形で折り合いをつける力、そして(2)予測していなかった突発事態に対処していく力をつけるためには、学校の授業に出ているだけでは限界があると思います。

とか言ってると、なぜか日本では「だったら学校の勉強をサボってもいい」という風に考える人が多いようですが、どうしてまたそういう極論になるのかまったく理解できません。いくら人の役に立ちたくても「知的スキル」「言語スキル(母語・外国語)」「いろいろな分野の知識」がなければどうにもならないこともいっぱいあります。今説明したように社会経験は学校の勉強を補完するものですから、バランスよくやればよいというだけのことだと思います。