敬語の作り方



日本語を教えて一つよかったのは、敬語の基本がわかったことです。とにかく難しい、マスターするのは大変と思われがちな日本語の敬語ですが、基本パターンはそれほど複雑ではありません。

敬語には規則形と不規則形がありますが、よく使われる不規則形は数が決まっているので、ここにあがっている分だけでもおぼえれば、かなり敬語らしくなります。

このパターンに当てはまらないものももちろんありますが(たとえば名詞の前につける「お(買い物)」と「ご(結婚)」など)、日本語のネイティブの人はある程度の判断はできると思います。日本語学習者の方は、ネイティブスピーカーの人に確認してみてください。

規則形のパターン
尊敬語(相手の行動) 謙譲語(自分の行動)
お(連用形)になります お(連用形)します


連用形の作り方 「です」「ます」体の「ます」形を作ってから、「ます」をとれば連用形ができます。


書きます→書き 入れます→入れ 取ります→取り 待ちます→待ち


できあがった連用形を上の表を使って活用させれば尊敬語・謙譲語になります。
尊敬語 謙譲語 「します」を下の表にある不規則形「いたします」に変えると、さらに丁寧になります→ より丁寧な謙譲語
お書きになります お書きします お書きいたします
お入れになります お入れします お入れいたします
お取りになります お取りします お取りいたします
お待ちになります お待ちします お待ちいたします

〜してください 〜していただけないでしょうか
〜していただけましたら幸いです
「〜してください」という表現に対して、目下から目上に対して使う表現としては失礼と感じる人もいます。

見てください(不適切)→ご覧ください(OK)→ご覧いただけないでしょうか(丁寧)

相手も事情を承知している場合であれば「お(連用形)ください」は手軽な敬語として可能です(例:こちらにお入りください・お座りください)。


不規則形(よく使うものばかりです。暗記するしかないですが、数が少ないのでたいしたことはないでしょう。)
標準形 尊敬語 謙譲語 備考
行きます・来ます いらっしゃいます まいります
うかがいます
尊敬語が「います」の場合と同じ形なので注意。「来ます」の尊敬語には「お見えになります」「お越しになります」というのもあります。余裕ができたら暗記してください。
食べます・飲みます 召し上がります いただきます
います いらっしゃいます おります 「存在する」の意味でも「〜している」の意味でも同じ変化です。例:歩いている→歩いていらっしゃる
見ます ご覧になります 拝見します
言います おっしゃいます 申します
もらいます (なし) いただきます 尊敬語では「お受け取りになります」など、違う動詞を使います。
あげます (なし) 差し上げます 尊敬語では「お授けになります」「お贈りになります」など違う動詞を使います。
知っています ご存知です 存じ上げています 尊敬語では名詞形になるので注意。謙譲語は「存じ上げております」がより丁寧。
します・やります なさいます いたします 「漢語+します」でも使えるので、一度おぼえると便利です(洗濯なさいます・洗濯いたします、連絡なさいます・連絡いたします、研究なさいます・研究いたします)
会います お会いになります お目にかかります 尊敬語は規則形を使いました(不規則形もあるのですが、規則形でも充分です)
帰ります お帰りになります 失礼します 尊敬語は規則形を使いました。

上級編
してもらいます していただきます 「相手に何かをしてほしいとき」に使います。
させてもらいます させていただきます 「自分が何かをしたいとき」に使います。五段動詞の使役形を作るときの「さ入れことば」の誤用を避けるには、否定形(〜ない)を作ってその出だしの部分に「せて」を足します。例:書かない→書か→書かせて(「書かさせて」「読まさせて」は今のところ間違いとされています)。一段動詞の場合は「させて」を足します(例:「食べさせて」)。