ライティング



 ライティングの訓練には特に時間がかかることを認識する

ライティングはたぶん語学の四技能(読む・書く・話す・聞く)の中で一番習得に時間がかかるスキルだと思います。大学院留学をする人でも相当苦労しますし、それどころかネイティブスピーカーでも大学に入ってからライティングで苦しむ学生さんがいるぐらいです。だからこそこのスキルを伸ばすことは大学でも社会でも大きな強みになるはずです。

 文→パラグラフ→five paragraph essay →レポート・論文と、下から積み上げるように訓練する

文をバラバラに書くことと、それを連結してまとまった(一貫性のある、明確な)パラグラフを作成することの間にはそれはそれは大きな「ミゾ」があります。凝った英文表現や難しい単語をいくら使ってあっても、構成が不明瞭だとメッセージはほとんど伝わりません。

しかし、英文パラグラフの基礎をおぼえてきちんと書けるようになれば、そこからfive-paragraph essayや短い論文に持っていくことはそれほど難しくないと思います。

訓練のアイディア

 まとまったものを定期的に書き、教師やネイティブスピーカーに見てもらう

「自分のアイディアを文章で表現すること」は、サンプルや和訳や英訳を暗記することでは身につかないのはちょっと考えればわかると思います。だからひたすら「書いて直してもらう」ことを繰り返し、そのプロセスから自分がやりがちな間違いや、日本語の直訳的発想(英文としてはわけわからん表現)、論理的でない文のつなぎ方、用法の勘違い・TPOに合わない英語のスタイルなどを少しずつ矯正していくという、気長な作業になります。

パラグラフライティングの基礎が終わってfive-paragraph essayの練習をするのであれば、トピックはTOEFL公式サイトの'Writing Topics'から選ぶのが手っ取り早いでしょう。essayの基本的な構成について解説された本で勉強してから始めた方がよいと思います。

おすすめ教材

 『英語パラグラフ・ライティング講座』ケリー伊藤著 研究社 2002年
パラグラフの構造について、さまざまな練習問題を用いて丁寧に説明してあります。一見初心者向けですが、中級の人でもきちんと復習した方がよい内容です。第3章の'Kelly's 10 Rules of Plain English'は、簡単なことを簡単に表現することがなかなかできないという学生さんに特におすすめです。
 Success with College Writing: From Paragraph to Essay, Zemach and Rumisek (2003) Macmillan.
パラグラフとエッセイの構造の共通点がわかりやすい構成となっています。ビジュアルもよく整理されていて見やすいです。
 Writing Academic English: Fourth Edition, Oshima and Hogue Longman.
海外のESLクラスなどで教科書に使われるレベルの本ですので、自習でこの本を使いこなすには相当の気合が必要かと思います。しかし内容にはそれだけの価値があります。

(番外)
『英語で論理的に表現する』崎村耕二著 創元社 1998年
非常によい内容なのですが、あくまでも「表現集」の域を出ないので、パラグラフやエッセイの構造を理解してから参考書として使うのが一番よいと思います。