リスニング


リスニング訓練は結構あなどれないらしいですね。外国語学習に関する研究紹介の本(『外国語学習に成功する人、しない人』白井恭弘、 2004年)によると、「リスニング能力の向上が他の技能にも転移する(66ぺージ)」ということです。

だからといって、テレビを見るだけで英語ができるようになるということもないそうです。耳からのインプットをたくさん得るだけではなく、得た知識を使って何かを表現するタスクを同時進行でやるということが必要ということですね。

具体的な訓練のアイディア

 シャドーイング・ディクテーション

もともとは同時通訳になりたい人の基礎訓練として開発されたものです。英語のテープやCDを聞いて、(ワンテンポ遅れますが)聞こえたままを口に出して復唱するのがシャドーイング、聞こえたままを紙に書き取るのがディクテーションです。両方やる場合は、シャドーイングを数回→同じ教材でディクテーションという順になります。

最近はシャドーイングという概念自体は定着してきたようですが、やり方については、まだまだ改善の余地はあるように思います。

具体的には「プロソディ」と「コンテンツ理解」をやるステップを別々にするということです。これについては『はじめてのシャドーイング』のステップ導入の部分が役に立つと思います。

 とにかく英語を流しっぱなしにする

これは私も大学のときちょっとやったことがありますが、二ヶ国語放送がかかるラジカセを購入し、それで自分が当時大好きだったアメリカの1時間ドラマ(「白バイ野郎ジョン&パンチ」ってやつでした。原題は'Chips')を英語で録音し、部屋にいるときそのテープをだらだら何時間も流し、気が向いた時だけ集中して聞いてみる(疲れたらやめる)という方法です。

そういうことを定期的にやっているうちに、ある日ふと、一瞬「あっ今の聞き取れた」という瞬間が出てきたのが印象に残っています。たるんだ大学生だった私は途中でやめてしまったのですが、もしあれを続けてやっていれば、「聞き取れる瞬間」がだんだん増えていったのではないかなあと思います。

教材の選び方

 自分が強い興味を持つジャンルのマテリアルを選ぶ
独学の最大の強みは「好きなネタにこだわって教材が選べる」ということです。興味のある分野ならもともと予備知識があるので、英語が部分的にしか理解できない場合でも、自分で情報を補うこともできますし、語彙や表現が増えるといよいよ楽しくなるのではと思います。

 まずはゆっくり目のスピードで録音してある教材を使う。20%しかわからないような教材より、80%ぐらい理解できるものを何回も聞く。

図書館や書店にあるシャドーイングの入門書のCDや、英語学習雑誌(English Journalなど)の付属CDにはそういう教材が含まれています。外国語教育研究センターで無料で借り出せる教材も要チェックですが、第3校舎の自習室でしか利用できません)。

 おすすめ教材

 『はじめてのシャドーイング』 鳥飼玖美子監修・著 ; 玉井健[ほか]著 学習研究社

 『決定版 英語シャドーイング』 門田修平 玉井健【共著】 コスモピア

※中級者向け
『VOAスタンダードニュース英語トレーナー』 稲生衣代 河原清志【共著】 コスモピア

※中〜上級
 『英語シャドーイング 映画スター編』 玉井健 コスモピア

こういう教材でシャドーイングに慣れてから、ラジオ・テレビ・インターネットの二ヶ国語放送などのマテリアルに移行するとよいでしょう。または、ゆっくり目の録音教材を引き続き用いてディクテーションに取り組むというチョイスも考えられます。