はじめに

99年秋におこなわれた天文学分野の女性研究者アンケート調査では、 セクシュアル・ハラスメントの被害者が非常に多いことがわかりました。 心理的に大きな傷をうけた人もたくさんいました。

全国の大学で、セクシュアル・ハラスメント防止のガイドラインと 相談組織ができはじめましたが、相談員に任命された人は、ほとんどが 大学内部の教員や職員で、相談員としては、しろうとです。 相談員のための講習やバックアップするノウハウはほとんどないので、 いざ相談をうけつけてみると、混乱が生じているようです。

というのは、セクシュアル・ハラスメントの相談には、フェミニズムと 心の傷への理解の両方が必要なのですが、心理学やカウンセラーの先生は、 フェミニズムの理解が足りなくて、不適切な発言をする可能性があり ますし、逆に女性学が専門の先生は、心の傷の手当についての知識がなくて、 配慮のたりない言動をする可能性があります。相談した人に対する配慮が 足りなくて、さらに傷を大きくして、PTSDに追い込んでしまう こともあり得ます。

天文学の分野でも、相談組織ができはじめ、相談員に任命された人が出て きました。アンケート調査では、被害は多いことがはっきりしているのに、 相談員の方は経験が無い人がほとんどで、これから勉強する、というのが 実情ではないでしょうか。
相談者は大きな勇気をふりしぼって、やっとの思いで相談するのですが、 相談をうける側に知識がないと、不適切な対応をして、心の傷を大きくしたり、 問題解決がすみやかにできなくて、こじらせてしまうことがあります。そこで 相談員のサポートをするために、このページを作ることにしました。 参考文献などは、まだ作成中ですが、どれも良い本です。天文学会誌でも 参考文献を紹介していく予定です。

まず、このページのスタンスをはっきりさせておきます。 このページは、被害者の立場にたって、問題解決をはかるための相談員の サポートをするためのものです。
つまり相談組織は、問題を解決するためにあるのであって、ゴシップを封じ込 め、大学としての面子を保つためにあるのではありません。そのため、かなり 辛口になっています。
このことは、当り前だと思うかもしれませんが、真面目で常識のある相談員なら、 多くの場合に、良識と大学の面子の板挟みになることを実感する日が、残念 ながらくると思います。そのときこそ、あなたの真価が問われています。

相談員だけが問題をかかえ込まないよう、普段から環境整備に努力する ことも重要です。何といってもセクシュアル・ハラスメントはメンバー全員の 意識改革が必要ですから。


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