Subject: [tennet 337] childcare report
                                       1997.4.14

天文学会の皆様
                                     年会実行委員長  加藤万里子

 春の年会における保育室の報告をします。

  駒場会場では保育室が設置され、初めての試みとしては順調に終りました。
保育室の準備にあたっては、東大駒場のみなさん、アルバイトの学生
スタッフの方たちにお世話になりました。その他の皆様にもいろいろと
お世話になりました。お礼を申し上げます。

  保育室の利用申し込みは3家族計4人でした。実際には1人が風邪の
ため来られず、別の親子1組が見学に来ました。新聞の取材が1件あり
ました(産経新聞 4月1日)。次回の会場(宇都宮大)でも、保育室は設置
する予定です。なお、詳しい報告や新聞報道記事等は天文学会のホーム
ページにのせてありますのでそちらを御覧ください。
また、他の学会で同じように保育室を作りたい方のために、天文学会での
経過や議論の内容、アンケート用紙などを学会のホームページで情報公開
しています。


以下は当事者の感想です。

加藤万里子@慶應大(年会実行委員:保育室担当)
保育室は初めての試みで、予想のつかないことだらけでした。でも
終わってみると、意外と簡単にできるものだなと思いました。シッター
さんに聞くと、同窓会や華道の大会などでは、託児室は普通にあるとの
こと。大きな大会などでは子供が何十人もいて、シッターさんも大勢いて、
にぎやかだそうです。結局、学者が世間から遅れているだけのことでした。


利用者その1
名誉ある(!)年会託児室利用者第1号としてご報告申し上げます.

まず,なんと言ってもおかげさまで助かりました.託児室のおかげで
年会に参加できました.初日の20日は,祝日のため保育園が休み,
午前中に林Mは座長,林Sは別の会場で口頭発表でした.学会の
プログラムは,テーマに従ってきちんとした流れとなるよう作られて
いるわけですから(幾つか例外はありましたが),講演順序の変更など
とんでもない.もし託児室が無かったら,どうやりくりしていただろう
と思います.21日は平日なので,子供はいつもの保育園に行きました.
22日,土曜でまた保育園が休み.(自分が出席するのは最後となる)
理事会もあるし,ききたい発表もあるし,ということで再び託児室の
お世話になりました.とにかく夜のセッションは別として,年会の
全体に参加することができて,たいへんありがたいでした.昨年秋は
子供に授乳を続けていたので,留守番をさせて水沢に行くわけにも
いかず失礼したのでしたが,今回は大きな違いです.

	
利用者その2	
  まず、今回とっても気軽に学会に参加できたことが嬉しいです。
これまで研究会や学会はよほど聞きたいもの、絶対に発表しないと
いけない場合に限って、どちらかの祖母を呼び寄せて子守をお願いして
出かけていました。そのためどうしても外に出る機会が減ってしまい、
なかなか研究面で刺激を受けられなかったところがありました。その点
今回は学会の参加云々が子守の確保の条件を外して純粋に参加したいか
どうかだけで検討できたので本当に良かったです。

  会場で見て貰うメリットの一つとして、親と子供が離れる時間が
最小限で済むことがあげられるでしょう。会場までの往復や昼食の時間を
子供と一緒にいられて、実質講演の時間だけ離れて過ごすのと、家で見て
貰うのとではかなり違います。子供が心配で大急ぎで出張先から飛んで帰る、
なんてことがないのは精神衛生上とってもいいです。

  また下にも書きましたが、保育室の設備やシッターさん達も安心して
預けられる環境にできていて、何の心残りもなく子供達(3才と6カ月の2人)
をおいて出かけられました。上の子が私達が出かける時あっさりと「バイ
バイ」と言ったり、23日の晩「明日はどこの保育園へ行くの?」と
尋ねたことを思い合わせると、保育園の環境と大差なかったのでしょう。
(「東大の保育所にはもう行かないよ。」と大笑いして答えました。)
3日目はお友達もいて、結構普段の環境と異和感なく過ごせたようです。

  今回久々に学会に出席して思ったのは、女性の研究者が増えたことです。
一昔前は結構珍しがられたような記憶がありますが、今では当たり前の
ように探さなくても目につくようになりました。このことから今後保育室の
需要は増えるものと思われます。今の若い女性の研究者達が、結婚、
出産=>引退などと考えて自分の可能性を狭めるような考え方をしないように、
また「仕事も子供も持つなんてぜいたくだ。」なんて言われないような、
子供を抱えて仕事場に行くなんて珍しくも何ともないような時代に一歩でも
近付くために、今回の保育室設置がしりすぼみにならず、今後も継続して
軌道に乗っていくことを切に願います。


見学者の親子
今回の年会での託児室を見学させていただきました。
私の場合は夫が子供の面倒を見ることができる予定だったために、
今回は利用は予定しておりませんでしたが、たまたま夫が一人しか
面倒を見れなくなったため、上の子(もうすぐ4歳)一匹の手をひ
いて年会に出席しました。そこで保育室の見学をさせていただきま
した。「子供を預けて講演を聴講してきたら」という大変に有りが
たい加藤さんのお申し出にもかかわらず、うちの子供は人見知りが
激しいために初めての場所に慣れずに、結局私がずっと一緒にいる
ことになりました。

保育室の感想を述べさせていただきますと、、、

まず、会場にとても近いというのは便利でよいことだと思いました。
室内は春らしいたのしい折り紙が壁に貼られていて、ほっとする空間が
演出できていました。(おみやげに我が家はチューリップと蝶々の
折り紙をいただき、家の壁に貼って大好評)風船もとってもよかったです。

シッターさんも温かいよい方でした。これなら安心できるな、という
印象を強く持ちました。シッターと子供の数についても、かえって
保育園よりもケアが行き届いていました。(すごい!)
次回からも是非とも保育室の設置を望みます。

子供を職場やそういう公の場に連れて行くことには批判的な方もたくさ
んいらっしゃることと思います。しかしながら、まわりにそれほどひど
い迷惑をかけるのでなければ、親の仕事の一端、子供にはたとえ理解で
きるわけではなくても、最近の研究の成果、美しいポスター、などを見
せることでこどもの心に少しでも科学に対する興味が芽生えるならば、
私個人としては大切なことではないかと考えます。

ともかく、今回はどうもありがとうございました。これからもみんなで
協力して頑張って行けたら、と思います。また、左絵子さん御指摘の通
り、保育室だけでなく、いろんなハンディに対して開かれた学会となれ
るように一歩一歩着実に前進していけるようみなで工夫して発展させて
いけたら、と強く思っております。

(おわり)