子供のこづかい 娘が小学1年生になったとき、こづかいを月ぎめで与えることにした。一日10円で1月分は いくらになるか、娘に合計金額を計算させることにした。2通りのやりかたを考えて計算し、 金額が合ったらその方法を親に説明してこづかいがもらえる、のだった。娘はカレンダーを見て、 同じ1か月でも30日や31日の違いがあることを知った。長い時間かけて足し算をしてこづかいを もらった。2年生になって値上げを要求してきたので、1日11円にした。3年生の時には、日にちと 同じ数の金額、つまり1日は1円、2日は2円という具合に1から30まで足し算をして2通りの 計算方法で結果が一致するまで何度もやりなおしてやっとこづかいがもらえた。4年生の時は 値上げをして1日2円から始めることにした。このころ娘は学校の勉強のなかで、算数が一番大切、 と言っていた。 娘はこづかいで漫画雑誌などを毎月3冊買っている。とても月のこづかいではたりなくて、窓ふきや 親の肩もみなどのバイトをやるが、それでも足りない。毎月お金が足りなくてピーピー言っている。 お正月にはおとし玉がもらえるので、合計金額のなかから1年分の雑誌代金をあらかじめ確保し、残りを 貯金することを考えついた。娘によるところの「ひだりてうちわ計画」である。5年生になり更に値上げを 要求してきたので、今度は加減乗除をすべて使って答えが520円になる問題を作るという課題にした。 「こどもが8人いました。6人遊びに来ました。3人帰ってしまいました。1人に3こずつあめを配って ・・・」という具合だ。創造力のない娘は、とたんに小遣いの要求が滞りがちになった。問題作成は計算 能力だけではおぼつかない。 ところで娘の今の関心は、消費税である。毎月赤字の彼女にとって、消費税で雑誌が値上がりする のはとても痛い。来月号予告の臨時増ページの隠れた意図もみぬけるようになった。消費税から 税金や国会や選挙公約などにも関心がひろがるのはいつのことだろうか。 福岡教育懇話会19973 慶応大学助教授 加藤 万里子 (天文学者)