11月になったあたりから、店先にプレゼーピオの材料がならびはじめた。マリアや赤ちゃんの 人形、ひつじなどが並んでいる。お人形の赤ちゃんが大小ずらっとショーウィンドーに 並んでいるのは面白い。イタリアの家ではクリスマスツリーよりプレゼーピオを飾ることの ほうが多いらしく、自分でプレゼーピオを作って飾るという話をよく聞く。 イタリアはカソリックの国だから、さぞかし教会の中に大きなツリーが飾られるのかと思った が、どの教会でもそんなことはなく、いつも通りだ。パドヴァの守護聖人をまつる聖アント ニオ寺院(サンタントニオ)には毎年大きなプレゼーピオが飾られるそうなので、見にいったら 中庭に巨大な箱が出現していた。ひと部屋ぶんのスペースがある。幕の中をのぞいたら、 小さな家や道路が建設中だった。プレゼーピオの素材 欧米の人形は日本のと違ってかわいくない。デズニーのアニメの白雪姫やシンデレラは 大人っぽい顔つきだし、子どもが遊ぶ赤ちゃんのお人形はどこがかわいいの?と思う くらいだ。日本の漫画がヨーロッパで受けているのは、顔つきが子どもっぽくて異質に みえることもあるのかもしれない。 プレゼーピオは聖フランチェスコが考えつき、15世紀に修道士たちによってイタリア中に 広められたらしい。キリスト誕生のシーンを人形で現わしたものだ。ヴェローナでプレゼー ピオの展示がはじまったと聞いて、見に行った(有料)。
会場のアリーナ。『彗星』が出現 まずはイタリア各地から集められた大きなプレゼーピオから。場面が大きくて1枚の写真に 入りきれない。暗いし、写真をとるのにちょっと苦労する。街なみが再現されているものも あれば、家の中だけのものもあるが、奥に隣の部屋が見えたり、窓の向こうの通りが見えたり と手がこんでいる。
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なるほどこれを家庭でつくるのは立派な趣味になりそう。男の人が真剣になるはずだ。 人によっては赤ちゃんを置くのはクリスマス、東方三博士は1月6日に出現させるらしいが ここはさすがに全部そろっている。ちなみにキリスト降誕祭が12月25日になったのは、 4世紀に異教徒の冬至の太陽崇拝の祭日とキリストの誕生がむすびつけられたからで、 本当に生まれたのは別の日らしい。生まれた年も数年ずれているようだ。
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中には灯がついたり消えたりするのもあった。昼間は鶏の声がして牛がもぐもぐし、おばあ ちゃんが窓の中で赤ちゃんをゆすり、道路で働いている人が動く。夜になると星が出て、家の 中の灯がひとつひとつ消えていく。(暗いし動くので写真は撮れず)
ヴェネチア 世界各国から集められたプレゼーピオもある。それぞれ違う民族衣装をまとっていて、その国 に同化している。アフリカのもあったが撮影しそこなった。キリスト教は世界宗教なのだと あらためて思う。
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(左)フィリピン、(中)グァテマラ、 (右)ペルー
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(左)カザキスタン、(右)ヴェトナム
ペルー
ふたたびイタリア各地のプレゼーピオ。暗くてピンボケでごめんなさい。ライトのコントラ ストも大きすぎて。目で見た方がよく観察できる。人間の目は優秀だ。
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シチリア
会場を出た広場に、おかしな音楽で人の笑いをさそう芸人がいた。足にも背中にも楽器が ついていて、ひょこひょこ歩くたびに音がする。小さな子どもにお金を渡させる親も多く、 その時のこどもに対するしぐさも笑いをさそう。パドヴァにもバイオリンやギターや南米の 音楽などをやってお金をもらう大道芸人がいる。テルミンも一度見た(テルミンは電子楽器で、 弦がなく空中で手をかざすだけで演奏する楽器。「のだめカンタービレ」18巻にも出てくる でしょ。初めて目撃したので、じっと見ていたら日本の唱歌を演奏してくれた) 私の観察では、楽器の演奏や彫像に化けている人には若い人がお金をだし、道でじっとすわっ ている物乞いの人にはおばさんがお金を置いてあげるようだ。(寒い道でじっとすわっている のは大変そう)
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(2007.12.15)
Copyright M. Kato 2007