レアでマイナーな博物館


パスタ博物館(ローマ:イタリア)

「パスタを作るのは簡単だ。小麦粉と水、それと塩か何かを適当にまぜれば出来て しまう。いったい全体何でパスタ・ミュージアムなんかに行きたいんだ?」と 意見するローマっ子の天文学者を無視して、マイナーな博物館が好きな私は 行ってみた。そりゃそうかも。東京に『うどん博物館』があったとしても多分 行かないだろう。わかりにくい路地を何度も人に聞いてたどりついたら、受付の おばさんは、私達にガイドブックを見せろと言う。取り出して見せると 「ああやっぱりこの本ね」という調子で、お客はあまり来ない様子だ。案の定 私達がいる間はだれもお客が来なかった。日本語音声ガイドを借りて(料金は 入場料に含まれている)聞きながら展示室を回る。 パスタの歴史、材料、作り方、手作りの道具から機械まで展示されているのは もちろんだが、映画の中のパスタ(パスタを食べる有名なコメディがある)や芸術 まで多方面の展示だ。いろいろな形をしたパスタが機械から高圧で押し出されて 作られるのがわかって面白いが、製造機械の仕組みの説明がなくて理系人間と しては欲求不満。大きな機械の前で二人であれこれ考えたりした。 売店にはおみやげ用のパスタセット(箱入り)があった。いろいろな形のパスタが 10種類箱に入っていて、持ち帰るにはちょっと重い。絹のスカーフには蝶形の パスタがデザインされている。他には売っていないだろう。ここのパンフレット には「世界で唯一の博物館」とあるのでレアなことは間違いない。

切手博物館(バース:イギリス)

ここには朝の開館時間より15分前に到着。ドアの前で待っていたら、受付の おじさんが「開館までまだ時間があるんだけどね」と言いながら鍵を開けて 入れてくれた。展示はこっちから回って見てね、これは柱の上で見過ごしやすい から気を付けてと、とても親切。展示ビデオを見ていたら、椅子までもって きてくれる。とても狭いが1つ1つゆっくり見ると結構時間が過ぎた。でも 案の情、私達が見ている間、お客は誰も来なかった。地元のガイドブックにしか 載っていないからだろう。 切手の周囲に丸い穴の列を開けるための機械。受付でもらった紙を差し込んで、 ハンドルを下に押すと穴が開く。 昔のバース郵便局の内部(郵便を仕分ける棚) 世界で最初の郵便はバースとロンドン間。(バースはロンドンの富裕階級のリゾート地 だったから、他の都市よりニーズがあったためだろうか) 展示のビデオ説明には、郵便のしくみを作った人、仕分けのしかたの改善や小包の システムを作った人、配達人などが登場して自分の仕事についてしゃべる(もちろん 役者の扮装)。(説明は英語) 手紙(ビデオ説明の画面) 昔は紙も郵便代も高かったので、手紙の文章は、逆さま、斜めにも書いた。 (拡大図)

世界初の切手(有名なペニー・ブラック)を貼った郵便がこの場所で投函された。

建築博物館(バース:イギリス)

ここも狭いが、見物人は結構いた。どのガイドブックにも載っているからだろう。 ここで紹介したいのは、しっくいのかざり模様の作り方。左のような木の型に 入れて模様をつくり、それを壁に張り付ける。だから壁がピンクで模様だけを 白にすることもできる。 教会や宮殿によくある壁と天井の間のカーブは、このようにして木の型を スライドして作る。

日本のレアな博物館

ところで、日本で一番レアな博物館は何と言っても目黒の寄生虫博物館だろう。 世界で唯一のユニークさを宣伝している。レアとはいっても、物好きな人間や 恐いもの見たさのカップルでいつも結構混んでいるのでマイナーではない。寄生虫の 展示があるのはもちろん、恐い病気や何やらで奥が深い。ミュージアム・ショップも ユニークで、サナダムシのリアルさを誇るTシャツとか、すてきな蝶々のデザインの ペンダントが目玉商品として並んでいる。よく見ると蝶ではなくて、寄生虫の オスとメスが合体しているところで、恋のお守りなんだそうだ。

(2007.6.29)

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Copyright M. Kato 2007