薬屋とへび

イタリアの街には看板が少ない。日本のように道路に置かれる看板はないし、
ネオンサインもない。肉屋や文房具屋などは店の名前も出していないので、
シャッターを閉じてしまうと何の店なのか見当もつかない。洋服やバッグの
店は、シャッターが頑丈な鎖になっていて、ショーウインドの中が見える。
昼休みや日曜日には、閉まってしまう店が多いが、みんなぞろぞろ歩きな
がら見ている。

      ローマの薬屋

レストランは外側に店の名前よりも大きく RISTORANTE と書かれているし、
タバッケリア(たばこやバスの切符が買える)には T のマークがついている。
薬屋は FARMACIA と書かれた上に、緑十字のネオンがチカチカしている。
他にはネオンがほとんどないのは、ローマもパドバと同じだった。

       
カプリ島の薬屋さんはタイルが美しい。観光客のため各国語が
ならぶ。(看板には店の名前がない)



カプリ島 ローマ パドバ 薬屋さんには時々「へび」のマークがついている。そういえば、東京の我が家の 行きつけの歯医者さんにも、この彫刻が受付にあった。星座のへび座は薬の象徴、 へびつかい座は医者をあらわす。ギリシア神話に出てくる名医のアスクレピオスが 蛇使いで、持っている蛇はへびの毒とも薬草の効用を象徴するともいわれる。

ポンペイの邸宅の壁画に描かれたへび。家の守護神の象徴だそうだ。 (そういえば日本でも大蛇が天井裏に住みつくのは吉兆だとされていたっけ。) AD79年当時にはまだキリスト教は広まっていなくて、ポンペイではいろ いろな神を信仰していた。市民はあくせく働かないですんだかわりに、 信仰行事で忙しかったらしい。 エデンの園 イブに知恵の実のことを教えたへびがまきついている。(カプリ島のサン・ミケーレ・ アルカンジェロ教会のタイル絵。(これは"南イタリアへの旅"にある図の一部分) ローマ パドバ へびのネックレスはあちこちで見かける。私はへび年生まれだけど 買う気はしないなぁ。

(2007.5.17)

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Copyright M. Kato 2007