10数年前にドイツの研究所に滞在した時、宿舎の台所ではじめて横型の 洗濯機を見た。オーブンの隣に並んでいて小型でかわいい。ドイツ語で 何やら書いてあるが、適当に操作したら動いたので、洗濯物が上に回って ぱたんぱたんと落ちるのを夫と二人してしゃがんで見ていた。脱水から 乾燥まで全自動なのは便利だったが、乾燥が強力で、私の靴下が子ども サイズに縮んでしまった。 パドバに来た当初、学生街のコインランドリーで巨大な洗濯機を見た。 ダブルベッド用のシーツが10枚は入るかという大きさだ。説明はイタリ ア語だが、それ以前に利用方法がわからない。機械にお金をいれるのか 専用コインをいれるのか、壁にあるのは両替機なのかコイン販売機なのか。 どれが乾燥機でどれが洗濯機なのか、あるいは兼ねているのか。迷って いたら、アフリカ系の男性がやってきて、壁の機械にコインをいれて、 しかめ面をしている。どうやらおつりがちゃんと出なかったらしい。 体格が良いうえに、肩から裾まで続く一枚つづきの布をまとっているので、 服1枚が巨大だ。長いすそからサンダルが見える。見ていると山積みになって いる大きな布をつぎつぎと洗濯機に入れていく。このコインランドリーは、 少しの洗濯物で来るところではないとあきらめた。![]()
1つ干すと紐をたぐり寄せて次を干す。失礼して 撮影させてもらいました。干し方が芸術的。 (両方ともローマ) 昔、アメリカの大学に子づれ単身赴任していた時、私と娘が住んでいた アパートには、地下室に共用の洗濯機が置かれていた。イリノイ州は 竜巻が多いので、どの家にも地下室があり、竜巻警報が出るとそこに避難 する。私たちはアパートの3階に住んでいてエレベーターがなかったので、 洗濯をする時は、4歳の娘といっしょに階段を降りて洗濯機をしかけて 部屋に戻り、しばらくして乾燥機に移しにまた降りて行く。
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日本のように上から出し入れする洗濯機は欧米では見かけない。 左は Padovaの我が家の洗濯機。右は雨の日に室内で干すためのもので 折りたためる。 パドバの私たちのアパートにはバスルームに洗濯機がついている。うちでは 洗濯は夫の役目だから、イタリア語の説明書きを真剣に解読するのは彼の方だ。 試しに動かしてみると、ぱたんぱたんと2時間も洗濯しつづけている。乾燥 機能はないので壊れたのかと心配になったが、どうやら正常らしい。脱水も ゆるいし、終った後には洗濯機の位置が少し前進している。新品らしいのに こんなものなのだろうか?最も早いモードにしても29分かかる。日本の我が家 の25年ものの洗濯機だって、最短コースなら16分で終るのに。さすがイタリアの 洗濯機はのんびり度が違う。
(カプリ島で撮影)
(2007.5.5)
Copyright M. Kato 2007