こんなはずじゃなかった; 楽しくないイタリア生活
パドバに到着して、ほっとする間もなく、期待はずれの出来事が続いた。
まず空気が悪いこと。ローマで飛行機を国内線に乗り換えてからは、花粉が消えて
うれしかったのに、ここに着いたとたん、目がひりひりし、のども痛い。小さな街
なのに交通量が多いためかと思うと、レンガの道をとばす車が嫌になる。それに
期待したよりもレストランの食事や街のケーキがおいしくないのだ!これは大問題で
ある。おととしローマに行ったときに気に入ったブルスケッタ(ガーリックトースト)
はみあたらず、出来立てのピザを一切れだけ買えるおいしいピザ屋もない。なぜか
パドバでは、パニーノとサンドイッチが圧倒的であまりおいしくないのであった。
野菜も知らないものばかりで、適当に調理してもおいしくなく、レストランで食べても
口にあわない。おいしいものがみつからないのは私の人生にとって最悪だ。イタリアを
選んだのは、食べ物がおいしいからなのに、これは大問題。
さらにカードで現金が引き出せなかったのはショックだった。アパートの契約寸前で
まとまったお金がいるのに引き出ないし、これからの生活費にも困る。去年ワルシャワ
ではちゃんとおろせたのに。。。VISAカードと書いてあっても、日本のVISAは
だめらしい。。異国情緒あふれる中世の街も、緑のない中を歩きまわると窒息しそう。。
英語はほとんど通じず、私のイタリア語では文房具ひとつ買うのも大変。なにしろ、
日本のように何でもあるスーパーがなく、ひとつひとつ別の店に行って、店主とイタ
リア語でやりとりして買うのだ。どこに店があるかと聞いて、1、2キロあるいて
買いにいく。昼休みでシャッターが閉まっていると何の店だかまったくわからないから、
道を間違えたのか、店が廃業したのかもわからない。これは都市の選択を誤ったか?
何より目がひりひりするのは困る。健康を害してまで居るところではないだろう。。。
そういえば「文学部唯野教授」(筒井康隆著)という小説があったなあ、と思い出す。
フランスに留学したはずの教授が、実はずっと自宅に隠れていたという話だ。あれは
私の中では、昔のW大学のイメージなのだが、うち(慶応)の優秀な事務を騙すのは
無理だろうなあ。。。。
(その後)
街中にある現金自動引きだし機(ATM)を片端からためし、やっと引き出せる機械を
見つけた時はうれしかった。アパートの契約直前だった。目がひりひりするのは、
空気が悪いというよりは、異常に乾燥しているためで、部屋に蒸気をたてると楽に
なる。そのうちに雨が降るようになり、ひりひりしなくなった。花粉症はこっちにも
あるのだが、花粉の種類が違うので、私は今年は発症しないのだ。毎年5月の連休まで
つらい思いをするのだが、今年はとても快適。大変だった滞在許可証の手続きと
アパートの契約が済み、おいしい食べ物もあることがわかってきた。日本でだって、
お気に入りの店や食べ物をみつけるのはなかなか大変だったのに、こっちに来て
そこらで買った食べ物がすべて最高級であるわけがない。食材はヨーロッパの他の国
よりずっと豊かなのは確かなのだから、絶対おいしいものを探せるはず。お気に入りの
アパートは街の中心からはずれていて、天文台までのんびりした川べりを歩いて通うと、
ああイタリアに来たんだなと、遠く離れたことを実感してうれしい。
最初はどうなることかと思ったが、これで何とか楽しくやっていけると思ったのは
3週間目のことである。
(2007.3.25)
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