パドバの生活は大学のゲストハウスから始まった。そこは狭いながらも自炊が できるようになっていて、台所用品が一通りそろっている。引き出しの中は この通り。 拡大パン用のナイフがあるのは当然だろう(チーズを切るのかも)。右の方にある 巨大なチーズおろしやパスタ用の穴あきおたまがめずらしい。ワインの栓抜きも ちゃんと入っている。木の棒は鍋のそこをかき混ぜるため?ぼろぼろだが まな板もあった(チーズを切るためかもしれない)。 拡大 戸棚にはフライパンとなべ2つ。縦に長い鍋はパスタをゆでるためのもの。左側の オレンジ色のものはスパゲッティ用のざる。ピッチャーとワイングラスが後ろに 見える。右端はイタリア式のコーヒーメーカーで、直火にかける。ランチョンマット もあった。 深い鍋は魚の煮つけには向かない。小さなフライパンでは野菜炒めがやりにくい。 蒸し器がないからバンバンジーも作れない。ここではキッチンの標準装備は、 パスタとワイン、コーヒーの食事を前提としているのであった。 イタリア人の天文学者の家にさっそく招かれた時、出張直前で忙しい彼女が作って くれた超簡単料理は、熱したオリーブオイルに缶詰のトマトソースをまぜ、ゆでた ペンネにからめたものだった。広くて居心地のよさそうなアパートで、赤と黄色の ソファーが楽しそうだった。次に招かれた家では、料理上手な奥さんが木製の スプーンで20分間も鍋をかきまぜてリゾットを作ってくれた。台所には各種の香料や 豆類をいれたガラス瓶がびっしり。よく雑誌に出て来る南欧のキッチンそのものだ。 2週間後に家具つきアパートに移った。ベッド、洗濯機、ヒーターとエアコン、 ダイニングテーブルと椅子、冷蔵庫、オーブン、ソファ、カーテン、食器など がついている。アメリカでも家具つきアパートに住んだことがあるが、ほぼ同じ だった。収納スペースは十分あるし、ハンガーまである。洗剤類も少し残って いて、テスト使用にとても助かる。白いソファに赤いクッションが置いてあった のはイタリア的な色使いで嬉しい。 シーツやタオル類は天文学者が貸してくれたので、買ったのは鍋類だけで済んだ。 我が家もちょっと真似して、キッチンに小さなガラス瓶を並べる。 (2007.3.17)