padova大の風景 -- 過激な卒業記念

イタリアの大学は基本的に学部3年、大学院が2年+3年だが、大学院が
整備されたのは最近のことらしい。これから紹介する卒業時の独特の風習は、
パドバがもっとも盛んなようである。パドバっ子の天文学者によれば、
その昔ボローニアからローマ教会の影響を逃れた教授達と弟子が移ってきて、
パドバ大学を創設したので、自由の気風は誇らしい伝統だそうだ。ちなみに
ヨーロッパで最も古い大学はボローニアで、3番目がパドバである。




卒業生の友達は、本人を紹介する巨大なポスター(パピア)を作って、写真の
ように道路に面した大学の壁に張り出す。内容があまりにも過激なので、私たちが
ショックを受けないようにということで、パドバに着いたその日にさっそく、
天文の卒業生のポスターを見せてもらった(研究室を案内された時、セミナー
室に十数枚が山積みされていた)。実は私は94年に来たとき、街中に張り出さ
れていたのを見たことがある。その時は大学院制度がなかったころで、卒業
する学生たちはドットーレと叫びながら練り歩いていた。

お決まりの形式では、ポスターの中心に本人のイラストが大きく描かれて
おり、周囲に細かな文字で、大学時代に彼/彼女がどのようなことをしたかが
詳しく記されている。サークル活動や勉強のほか、大事な秘密が暴露される
こともあるそうだ。そしてほとんどのポスターで男女とも性器が異常に強調
されている。通行人はともかく、両親や親戚も見るのだけれど、何も言わない
そうだ。(卒業が近くなると、変な事が書かれないか心配する親も多いと聞く)
本当に恥ずかしいイラストなので、上の写真は斜めから撮影してある。

 . 

左の写真では、ポスターの前の道路で、本人がその文章を大声で読みあげている
ところ。文章は友達が書くので、本人はその時はじめて内容を知る。たぶん
はずかしい内容に違いない。この後、友人達に囲まれて街を練り歩く。今日は
なぜか女性ばかり目についた。文学部の卒業だったのかも?ちなみに学部は3年
間だが、卒業試験が次の年度にばらばらあるので、卒業は学部ごとに違い、
それもばらついているようで、毎日のようにこの様子が見られる。


別の日の朝。花輪をもらった両親に見守られて、彼女が道路で堂々と着替えた
あと、ドットーレの歌声。そのあと日本のイッキ飲みの「イッキ、イッキ」と
同じように、バーチ、バーチッ、とはやし立てられて、彼氏にキスをした。
(バーチはイタリア語でキス) その後、例のポスターを友達から受け取って読む。

女性はこのように、紙や布で作った衣装でさまざまに仮装していた。男性は
パンツひとつになっているのが目立つ。友達が手でゲートを作り、その中を
彼がくぐり抜けるとき、友達にたたかれる。

日本人の目からみると何てハレンチかと思う。だが、よく考えてみると、日本
だって、早慶戦のあとで日比谷公園の噴水にまっぱだかで飛び込む学生もいる。
どちらが野蛮かわからない。文化的なのはイタリアだろう。
ハレンチなポスターを張りやすいように、透明な板を窓に設置したのは大学当局
なのだろうし、学生が逮捕されないように、噴水のそばで教職員に見守らせる
大学当局もあるし。。。。
(2007.3.10)

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Copyright M. Kato 2007