(イラストも筆者)
うちには娘が一人いる。私自身は、中学時代にハードな反抗期を経験して、内気で勉強好
きの良い子から、学校の良妻賢母教育に逆らいまくる反抗娘に激変したため、女の子はだ
れでも中学生になると変身するものと期待していた。女性にとってまだまだ生きやすくは
ない社会のなかで、自分なりに納得した人生を送るためには、一度は社会の既存の概念に
反抗してみることも大切だと思う。アバウトでのんびりした娘がどのように変身するのか、
楽しみにしている。親のつねとして、自分にできなかったことを子供に期待するから、内
心あこがれていた不良少女にならないかなあ、などと思ってみる。
子育ては、大人に許された人生最大の遊びだと思う。もし失敗すれば、そのつけは、自分
や社会に返ってくる。
子供が小さい時には、素直にいろいろな質問をする。「人間は何からできているの?」に
は、こちらも素直に学者らしく、生体の成分として最も多いもの、つまり「水よ」と答え
たが、納得しなかった。人間には形があるのに、水には形がないからである。ではなぜ人
間には形があるのか?うーん。人間にはなぜ足があり、木にはないのか?うーん。
子育ての醍醐味は、学者としての柔軟性を試されることにあると思い知る。
学童保育では、夏休みの間は、宿題か勉強をもっていくことになっていた。足し算を習った
ばかりの娘は、何桁の計算でもできるよ!と得意がっていたので、数字を1から9まで
繰り返して長く書き、その下に1字ずらして同じものを書く。すると長い長い足し算の問
題ができる。その他にも、答えが99999・・・になるものとか、111111・・に
なるものなど、毎日違う問題を考えて面白く遊んだ。
娘は中学生になったのに、のんびりやのままである。専門家によれば、必ずしも反抗期が
来るわけでもないらしい。親の期待をうらぎるのが子供の役目だから、もしかして、変身
しないのが「うらぎり」か? そんなあ、、、、と絶叫してしまいそうなこのごろである。