星空の下で(第2回)

家族旅行と星

お気に入りの星グッズ
(イラストも筆者)

私たち夫婦は二人とも天文学者ではあるが、専門は星の理論で、観測は全くしない。そ
の上私は天文ずきの少女でもなかったので、星座についてはろくに知らない。北極星は
どれですかと学生に聞かれるのは苦手だ。子供が小さい時、学童保育のキャンプで星の
解説をすることになった時には、あらかじめ夫婦でプラネタリウムに行き、夏の星座の
知識を仕入れたくらいである。

それでも、しし座流星群が騒がれた一昨年秋には,家族で伊豆にでかけた。研究のため
ではなく純粋に物見遊山である。流星は期待したほど多くはなかったが、友人一家とテ
ニスコートのわきで夜更かししたのは良い思い出となった。いちどは降るような流星雨
を体験してみたいと思っている。

昨年はトルコ旅行をした。ちょうど夏休みにヨーロッパからトルコにかけて皆既日食が
あり、観光を兼ねた日食ツアーに親子で参加した。

皆既日食は感動ものである。太陽がしだいに細くなると、まぶしくなくなり、空は暗く 、
風が涼しくなる。木漏れ日は太陽の像なので、すべて三日月形になる。トルコは晴天
続きで理想的な皆既食となり、コロナがきれいに見えた。空が暗くなると星が輝きはじ
め、鳥は夕方だと思って鳴きながら巣に帰っていく。皆既が過ぎて明るくなると、鳥が
またもとの方向へ飛んでいく。

このように皆既日食は、身をもって体験できる天体現象である。やみつきになる人も多
く、ツアーの参加者には日食が4度目や5度目の人もめずらしくない。中学生の娘は、
夏休みの理科の宿題を日食にしたのはもちろんのこと、歴史と地理の宿題もトルコのガ
イドブックを見てすませてしまった。

かつて、歴史的な円高が終わりかけたとき、我が家では、一ドル80円より円高になっ
たらハワイに家族旅行に行くと、子供と約束した。この約束はひどいと私の友人からは
非難ごうごうだが、娘は真剣に新聞の経済記事をみて、円高傾向をチェックしている。
ハワイにはすばる望遠鏡があるので、友人の天文学者を訪ねて、いちど行ってみたいと
思っている。


しんぶん赤旗2000年5月12日掲載
Copyright (文とイラストも) Mariko. Kato 2000