バリアフリーパッケージ 裏話              1998年9月

ようやく完成してほっとしています。このような試みは私にとっても出版社
にとっても始めてでしたので、いろいろ戸惑うことばかりでした。

なぜカラー印刷か
今までの点字の本は、点字だけが印刷してある真っ白なもので、私のように
点字がよめない者にとっては手にとってみても面白くないものでした。
ですから私は、点字の読める人も読めない人も、みんなでいっしょに楽しめる
ものにしたいと思ったのです。その方が、視覚障害のある人もない人も、
どちらにとっても世界が広がると思ったからです。この点字の立体印刷
(タッチプリント)は、プラスチックが透明なので、下の印刷がすけて
見えます。カラー印刷の上に点字があっても、読む邪魔にはなりません。
もちろんカラー印刷があっても点字を読む邪魔にはならないわけです。

技術的なこと
  まず製本ですが、通常のしっかりした装丁はむつかしいとのことで、
簡易製本になりました。
  点字は紙に直接プラスチックをのせると、耐久性が心配だということで、
はじめにビニールコーディングをしてからその上に点字をのせました。すると
今度は滑りがわるくて、指で読み取ることが難しくなってしまいましたので、
アクリルの粉を表面にふって滑りやすくしました。すると今度は本が粉っぽく
なってしまい、さわると粉が指につく、という具合です。片面だけにビニール
コーディングがされているので、本が反ってしまうのも欠点です。(この粉が
とれてしまったら、家庭にあるカタクリ粉をふりかけて下さい)

  ところで立体印刷の図は、墨字の本の図そっくりではなく、触ってわかり
やすいように簡単化してあります。また点字の大きさが決まっているために、
図の大きさもあまり小さくはできませんから、たくさんの図をいれることは
無理でした。それでも46個の図が入り、かなりのことが伝えられると
思っています。図の細かい部分は、印刷会社の校正の仕事をしている全盲の方に
みていただいて、何回か書き直しました。説明は点字で入っていますが、
長さの制限がきつくて、省略してある部分もあります。フロッピーに図の
説明が入っていますので、それを聞いてみて下さい。
(なお読者から指摘があった、図のわかりにくい部分については別のページに
補足解説をのせてあります)

なぜ24ページか
印刷の都合上、ページは8の倍数になります。このバリアフリー版では
カラー印刷が16枚と白黒が8枚なので、合計24ページなのです。