履修上の問題点と措置             
                         飯田 等・神谷 弘子 (慶応大学日吉教務課)


慶応大学法学部の経験から、学期始めに迅速な対応が必要だと思われる
事柄をまとめた。

<体育実技>
法学部では体育実技は必修科目ではなく、本人は1年目は履修し
なかった。教職課程をとる場合には体育実技は必須となるので、
視覚障害者の履修について体育研究所に検討をお願いしたところ、
マシンを使った実技や水泳、エアロビクスは可能であることがわ
かった。また球技ではボールの中に鈴の入ったものを使えば可能
なので、履修する場合に詳しく検討することになった。

<自然科学科目>
実験科目では視覚障害者に対応した装置(光の情報を音に変える)
をつかった実験のカリキュラムを組み立てる必要があり、すぐには
対応できなかった。

<教員への周知>
履修申告が済んだあとで、各科目担当者あてに、視覚障害者が履修
をするという知らせを法学部学習指導主任より文書で通知した。

<教科書>
点訳を最初の授業に間に合わせるためには、教科書・参考書のリストと
その本の中で必要な箇所を知る必要がある。必修科目の担当者は4月
以前に決まっているので、教務課が担当者との連絡をとりまとめて、
必要な本と必要箇所を本人に連絡した。

<休講・掲示物>
掲示版を見ることができないため、本人に毎朝教務課の窓口に来て
もらい、口頭で知らせた。ただしこれは始めの2カ月ほどで、友人が
できると窓口には来なくなった。

<試験問題>
試験問題は点字に訳す必要がある。短い問題文は教務課員がパソコン
でextra というソフト((pc 用)を使い点訳、図は立体コピーを使用した。
長い問題文や諸国語等の点訳は日本点字図書館に依頼、解答の墨訳も同様
に依頼した。

<試験>
試験時間は概ね晴眼者の1.5倍とし、担当者によっては無制限のことも
あった。教室は別室で行った。これは試験時間がずれること、監督が
念のために問題文を読み上げること、点字を打つときに音がするため等である。