恒星社厚生閣 編集部の皆様 はじめまして。 私は藤原 晴美(ふじわら はるみ)と申します。盲学校の教員をしている 視覚障害者(全盲)です。 このたび貴社から出版された『100億年を翔ける宇宙』(5月購入)と、 そのバリアフリーパッケージを購入させていただきました。 活字原本の巻末に掲載されているM51の"タッチプリント"にも感激しまし たが、楽しみにしていたバリアフリーパッケージを手にしたときは、もっと大 きな喜びを味わいました。 加藤万里子先生をはじめ、貴社の方々のご尽力に心より感謝申し上げます。 ありがとうございました。 私は弱視だった頃、天文学の本をたくさん読みましたし、望遠鏡を使って星 を見た経験も持っています。全盲になったために、自分で本が読めなくなって 20数年になります。文字で書かれた本文の部分は、点訳したり音訳(朗読し てカセットテープに吹き込む)したりして理解するという手段があります。で も、掲載されている天体の写真やスケッチは"見る"ことができません。 『さわるカラーグラビア』は、私に天体写真(懐かしいもの、最近の観測の 成果なので初めて見るもの)を、再び見せてくれました。とても嬉しいです。 MS-DOSのテキストファイルを納めたフロッピーディスクが2DD(720K バイトフォーマット)というのは、とてもありがたいことです。このメディア ですと、最近のマシンやAT互換機だけでなく、古いタイプのPC9801シ リーズでも読むことができますから。 また、各ファイルには"read only"属性が付加されていて、MS-DOSをよくご 存知の方がこのプロジェクトに加わっていらっしゃることがわかりました。 まだ全部読み終わっていませんが、とてもわかりやすい文章が続いていて、 翌日の仕事がなければ、一晩寝ないで読んでいたくなります。 テキストデータのもう一つの利点は、文字の確認ができることです。 点字には、ひらがな、カタカナの区別がなく、一般に用いられている文字体 系には漢字がありません。私たちはテキストエディタやワープロソフトでこの ようなテキストを読みながら、必要に応じて文字(用字・用語)を確認するこ とができるのです。 私は、これが恒星社厚生閣という所から刊行されたことに、大きな意義があ ると思います。 『新版−100億年を翔ける宇宙』のバリアフリーパッケージをお手本にし て、他の天文学の本、いえ、他の出版者の他のジャンルの本にもバリアフリー パッケージが作製されるようになってほしいと、私は心から願っています。