まむし谷の風景:記念館から宮前台地を眺める。

日吉記念館の右脇を壁に沿うように進むとテラスのような場所に出ます。そこからの眺めは、絶景といって良いような素晴らしいものです。眼下に広がる圧倒的な緑、そのすべてが日吉キャンパスの中であると知ると、たいていの人は驚きます。白く見えているのは、テニスコートです。ここを谷の底面として手前と向こう側が駆け上がりの丘になっています。まむし谷と呼ばれるこの谷は、写真の右手の方を谷頭として左手方向に緩やかかに下がっていきます。今はテニスコートやバスケットコートなどになっていますが、そんなに遠くない昔、ここには小川があり、その流れは矢上川から鶴見川へと濯いでいたのでしょう。正面の丘は宮前台地と呼ばれ、頂上の体育会施設を除くと、斜面はイヌシデやコナラで構成される雑木林になっています。この雑木林は日吉の森の中でももっともまとまった大きな森で日吉キャンパスの中心の森と呼ぶにふさわしいものです。しかし、写真でも分かるように中央部分が凹んでいます。実は10年前に大きな土砂崩れがあり、この部分の林が崩壊してしまったのです。現在はまだ崩壊地のままで植樹などの対策はとられていません。


まむし谷風景:宮前台地から記念館方向を眺める。

アメリカンフットボールの練習場の前から日吉記念館(右側のかまぼこ型の建物)方向を眺めています。左端の建物は慶應義塾高校です。この場所は宮前台地と呼ばれ、標高約35メートルの丘になっています。まむし谷を挟んで対峙する中央台地の高さ(約36〜30m)とあまり差がありません。そのため建物の建っている場所がちょうど目線の高さになります。目の前の視界が開けているのはここが10年前に雑木林の一部が崖崩れで崩壊してしまったからです。


峠道のメタセコイア:

高等学校のグラウンドからまっすぐまむし谷に下りて行くと、高さ15メートルはあるメタセコイアの並木道に出ます。メタセコイアは道に沿って植えられていますから、この写真では、道がゆるやかに右手へカーブしているのが分かります。この道は、徐々に勾配を取りながら宮前台地と向が台地(寄宿舎のある台地)の間を抜け、キャンパスの向こうへと続いていきます。道が台地の尾根に差し掛かるサクラの木の脇には小さな石のお稲荷さんが奉られています。昔からこの道を使って人々が往来していたことを示す貴重な遺跡です。ちなみに私たちはこの道を峠道と呼んでいます。


国見坂:

日吉記念館のテラスからの眺望は、さながら小高い山に登りて国を一望するに似ていなくもなく、誰とも言うなしにそれを国見すると呼ぶようになりました。私たちが日吉の森を訪ねるときには、まず国見をして、それからこのまむし谷へと続く長い階段を下りて行くのです。数十メートルほどの階段ですが、季節ごとに、エゴノキやムラサキシキブなどの樹木の花や、オオヂシバリ、カントウタンポポなどの野草の花が途切れることなく咲き続けます。


理工坂:

日吉キャンパスから矢上キャンパスへ行く道は、途中長い階段になっています。この階段のことを私たちは理工坂と呼んでいます。この坂の左右は雑木林になっていて、道際の樹が天蓋を造り、ちょうど緑のトンネルを抜けて行くような趣があります。日差しの強い夏はこの坂に差し掛かるとホッとします。ただし蚊と登りは辛いですが。
この坂は、野鳥観察のポイントの一つでもあります。周年見られるコゲラ、オナガ、シジュウカラ、メジロ、ヒヨドリ、のほかに冬にはシメやシロハラなどが観察できます。特に、コゲラはこの周囲に巣を構えることが多く、5月頃にはよく子連れで見かけます。運が良ければ、巣を見つけることもできるかも知れません。もちろん見つけても近づいて驚かせたりしないでくださいね。


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